フォーチュン
アンジェリークのグリーンの瞳から、ホロリと涙が流れ落ちる。

アンジェリークは、華奢な肩を震わせながら、「分かりました」とつぶやいた。
アンジェリークが泣いていると感じたユーリスは、己の逞しい体を、体温が感じるほどアンジェリークの背中にさらに近づける。

「案ずるな。全て上手くいく」

身分を捨て、勝手に国を出た私のことを、母様たちは恥じているに違いない。
そんな身内がいる者と結婚なんてできないと、ユーリス様は思っていらっしゃるに違いない。
私をバルドーへ届けたら、もう二度とかかわらない思って・・・バルドーはまだ崩壊していない、わよね?
何よりユーリス様は、私を助け出してくれた。
寛大すぎるその処遇に感謝しなければ。
・・・いえ。
ドラークの王宮へ連れて行かれた後、どんな罰でも受け入れる覚悟を、今のうちに持っておかなくては。
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