フォーチュン
「・・・なるほど。塔に貫かれる必要な破壊。轟く雷鳴。火を噴く怒り。破壊の過程で得る痛みもまた必須。怒り、痛み、愛情、情欲。それらを全て受け止めた先にあるもの。それは・・・」

愚者によってまた引き出しされたカードは、「6・恋人(ザ・ラバーズ)」の正位置だった。
それを見てハッと息を呑む者、「ほぅ」と感嘆の声を漏らす者もいた。

続けて愚者は、もう一枚カードを引いた。
正位置で出た「10・運命の輪(ウィールオブフォーチュン)」を見た愚者が、珍しくニヤリと笑ったとき、窓の外で稲妻が光り、雷鳴が轟いた。

「国王様。ユーリス様とアンジェリーク様が、真(まこと)の恋人同士になることで、運命の輪が正しく回り始めると、タロットが申しております」
「そうか。ならば今晩は二人きりにさせておこう」
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