フォーチュン
ⅩⅩⅧ
夜が明け始めたころ、ユーリスは目を覚ました。
いつもと違う感覚に、逞しい体が一瞬強張る。

何・・・柔らかな肌。この匂い・・・アンジェリークか。

すぐに緊張を解いたユーリスだが、これ以上近づけない程、アンジェリークに逞しい体を密着させていたことに気づいて、また体を強張らせた。

もしや俺は、アンジェリークを潰してないか?

ユーリスは、慌ててアンジェリークから少しだけ離れた。
規則正しく波打つアンジェリークの背中を見て、ユーリスは心から安堵の息をつく。
しかし今度は、アンジェリークの豊かな赤い髪の向こうにある、艶めかしいうなじや、あらわになっている滑らかな肩を見て、ユーリスの中心に、たちまち欲望の熱が集まり始める。

相手がアンジェリークだと、俺の欲望は留まるところを知らないようだ。
しかしアンは、昨夜が初めてだった上に、心身の疲労が溜まっているはず。
俺も少々無理をさせてしまったし・・・もう少し寝かせてやろう。

 ユーリスは、「今は我慢だ」と自分に言い聞かせながら、渋々ベッドから出た。
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