フォーチュン
本当は、もう帰らなければいけない時間だ。
夜遅くひとりで街中をうろつくなんて、小国とはいえ皇女にあるまじき行為であることは、十分承知している。
でも・・・でも、厳密に言うと、私は「ひとりで」街中をうろついているのではないし。
・・・「若い男性と一緒に」というのは、余計皇女にあるまじき行為かもしれないけど!
それでも、宿泊先の窓からひとり花火を見るより、コンラッドど一緒に花火を見たい。
もう少し・・・もっと、コンラッドと一緒にいたい。

アンジェリークが若い異性に対して、そのような気持ちを抱いたのは、生まれて初めてのことだった。


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