フォーチュン
・・・自分が微笑んでいることを自覚したのは、いつ以来のことだろう。
退屈だった日々が一変し、今はこの場にいることを楽しんでいる自分が・・・信じられない。
これが愚者(フール)の言っていた、「出会い」というものなのか?

そう気づいたとき、ユーリスの頭の上から足の先、そして彼の魂の奥深くまで、激しく揺さぶられたような衝撃を受けた。
思わず自由な彼の右手が、ピクリと動いてしまったほどに。
そして彼の左手は・・・アンの手をしっかりとつないだままだった。

「コンラッド?どうしたの?」
「・・・いや。11時を過ぎると、少しずつ空が暗くなり始める。そして真夜中になると、西の丘で花火が上がる。それまでは俺と一緒にいられるか?」
「・・え。ええ、はい。もちろんです」
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