フォーチュン
「ではそう硬くなるな。俺に対して警戒心を抱く必要はない」

ユーリスの言葉が、アンジェリークの頭上から聞こえてくる。
そしてユーリスが言葉を発するたびに、アンジェリークの後頭部あたりで、かすかに振動が起こった。
それらは隙間なくくっついている二人の周囲を取り囲み、心地よい二人の世界を作り上げていた。
方々に散らばっているユーリスの護衛の者たちは、初めて見る王子の所業に対して、素直に驚いたり、「いいなぁ」と羨ましがったりと、今までとは違った意味で忙しい。

「バルドーでは夏至の日は何時頃から空が暗くなる?」
「恐らく夜の10時を過ぎたあたりから。ドラーク王国よりも少し早めですが、私はいつも眠っているので」
「そうか。どうだ?アン。少しは暖かくなったか?」
「ええ・・・はい、とても」
「それはよかった」


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