フォーチュン
「大丈夫だ。俺がいる。それより夜空を仰ぎ見てみろ」
「え・・えぇ」

アンジェリークは恐る恐る顔を上げて、ユーリスが言うとおり、夜空を見ると、また花火が上がった。
彼女は、その音にまた体をビクッとさせたが、今度はそのまま夜空を見続けた。

「・・・わぁ・・・何て綺麗な色と模様なんでしょう・・・」
「花火を見るのは初めてか?」
「初めてではないのですが、これほど大きな模様を描く花火を見たのは、生まれて初めてです。だから音がこんなに大きいのですね」

はじめこそビックリしたものの、それからアンジェリークは次々と打ち上がる色とりどりの綺麗な花火に、魅了され続けていた。

「コンラッド!今の花火を見ましたか?鮮やかな色の流れ星がたくさん降っているようで、とても綺麗だわ。それに花火の輪が大きいせいか、月がとても小さく見えますわね」
「ああ、そうだな」
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