フォーチュン
ドラークの次期国王となるユーリスは、数年前から国政の一部に携わり始めている。
王子であっても、それなりに忙しい身なのだ。

そのとき、すでに開いている執務室のドアをノックする音が聞こえた。
ユーリスがドアのほうを見ると、官吏のフレデリックが立っていた。

「入れ」
「はっ」

フレデリックは一礼をすると、ユーリスのほうへ静かに歩いた。

「ご所望のリストをお持ちいたしました。お時間がかかり、申し訳ございません」
「いや。あの宴はいつもより何倍もの招待客がいたからな。むしろもう出来たのかと言いたい。ご苦労だったな、フレデリック」
「ありがたきお言葉」とフレデリックは言いながら、元々下げ気味だった頭を、もっと低く下げた。
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