フォーチュン
「あぁユーリス様・・・」
一日も早く、貴方様にお会いしとうございます・・・。

感極まったアナスタシアは、薔薇の花束に思わず顔を埋め、頬を擦りつけた。
そんなアナスタシアの様子を、妹のアンジェリークは微笑ましさ半分、理解半分の面持ちで見ていた。

誰かに心を奪われるほど恋をしているアナの気持ちが、私には分かる。
でも私の場合、コンラッドとはもう二度と会えなくて・・・いえ、会えても結婚をすることは許されない。
なぜ私は皇女としてこの世に生まれ落ちたのだろう。

今まで皇女という身分をただ受け入れていただけだったアンジェリークは、そのとき初めてその身分が疎ましく思えたのだった。
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