フォーチュン
アンジェリークが王宮から去って2日後。
ドラーク王国次期国王・ユーリス王子と、彼の護衛4名が、非公式にバルドー国を訪れた。
王宮に着いた彼らを、女帝ヴィヴィアーヌと夫のアントーノフが、直々に出迎える。

「ようこそ、バルドーへ!」
「長旅でお疲れでしょう?二日馬に揺られて来られたのですから。ユーリス王子も護衛の皆さんも、どうぞゆっくりとおつくろぎくださいな」
「急な非公式の訪問にも関わらず、我々を温かく出迎えてくれたことに感謝します」と答えたユーリスには、王子とはいえ、女帝に劣らぬ威厳がすでに備わっている。

「コンラッド」
「はっ」
「ソーラスを頼む」
「かしこまりました」

護衛長のコンラッドは、黒く大きなユーリスの愛馬・ソーラスの手綱を持つと、ソーラスに優しく話しかけながら、馬小屋のほうへと歩いていった。
< 94 / 318 >

この作品をシェア

pagetop