浅葱色の恋心
土方さんが、隊士の労をねぎらう為に

宴を開いた


不思議な気持ちだった



以前は、太夫としてここにいたのに…






すっかり男になって、お酒呑んでる







ふと、一の方に視線をやると





綺麗な女の子に手を握られていた



私の手は




振り解かれたのに














そうだよね…



私の手は、人の命を奪う手だもの





コトッ




お猪口を置いた




厠に行くフリして、先に帰ろう






店を出ると



女将が追いかけて来た




「いつでも帰っておいで」




「帰るとこなんてねぇよ」





「永井様も心配してたよ」




「そう」







大事に育ててくれた両親と女将に


胸を張って


笑える自信がない








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