浅葱色の恋心
彩華がもぞもぞと俺の腕から抜け出す

「土方さんに言われたの?」


その表情は、悲しみ



「仕事する気ないなって思ったのよね」


「ちゃんと話せって言われた」


「なにそれ?
私の事、落とせとかそういうこと?」


「そうじゃない!」


「友以上は、ない!…ないから
私は、新選組に男として残ったの!
一のそばにいたいのは、認める!
でも!もう、もう… 私に深入りしないで」




ぽたぽたと彩華の涙が畳に落ちる




「伊東さんに何か言われたのか?
それとも… 俺が嫌いになったのか?
平助が… 忘れられないのか?
何をそんなに苦しんでいる
俺に話せ! 友だというなら頼ってくれ!」


「怖いの… お願い…
何も聞かないで…」



彩華の涙が、流れるのを両手で拭う


「彩華… 彩華が、好きだ」



強引に唇を奪った




「やっ 怖い…」



怖がる彩華を宥めるように


優しく

ゆっくりと


彩華を抱いた




「俺が、いる」


「うん…」



「怖かったか?」


「うん…」


「ずっと彩華を嫁にすることを考えていた
彩華が、平助に恋心を抱いたあとも
平助が羨ましくて…」


「一」


「ん?」



「帰ろう」



着物を着直し

彩華が言った



「ありがとう
私って、幸せものだよね!
一!これからも…
友として、ずっと一緒にいよう」





羨ましい


彩華に、好かれた平助が


本当に羨ましい














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