漂う嫌悪、彷徨う感情。
日下さんの思惑が分からず、自分の思考ともかけ離れている現状に、どう返事をするのが正しいのか迷い硬直していると、
「来月3週目の水曜日、予約入れてください」
日下さんは『コイツ、使えねぇな』と思ったのか、ワタシの返答を待たずに話を進めた。
「・・・かしこまりました」
真琴ちゃんがパソコンのキーボードを叩き、旅館の予約を取る。
その間、日下さんは鞄に手を突っ込み、財布を取り出した。
そして、財布からクレジットカードを引き抜くと、真琴ちゃんに手渡した。
日下さんが、旅館を予約し精算までしてしまった。
困惑の眼差しで日下さんを見つめると、日下さんはニコっと笑い、またワタシの頭をポンポンと撫でた。
・・・分からない。 この『頭ポンポン』の意味が全く分からない。
が、この頭ポンポンによって真琴ちゃんの表情は一層険しくなり、スタッフさんたちは『佐藤さん、悲惨』と言いた気な空気を醸し出していた。
そんな周りの反応に満足そうに笑う日下さん。 鬼畜。
しかし、ワタシにこの状態を楽しむ余裕はなかった。 だって、日下さんが何をどうしたいのかがサッパリ分からないから。