漂う嫌悪、彷徨う感情。

「うん。 大丈夫だよ。 じゃあ、総務にWEB申請しておいてね」

「はい。 ありがとうございます」

課長に有給の申し出が通った美紗は、少し嬉しそうな表情を浮かべると、課長に頭を下げて課長のデスクを後にした。

自分のデスクに戻ろうと、またオレたちのデスクの近くを通り過ぎようとした美紗に、

「木原さん、有給取って新しい彼氏とどこかにお出掛け??」

岡本も、美紗と課長の話をしっかり聞いていて、悪意たっぷりな質問を美紗に投げかけた。

「・・・はい」

「・・・え??」

まさかの美紗の返事に愕然とした。

「・・・最ッ低。 そのままもう会社に来なくていいよ、美紗」

オレの横で小田さんが美紗を睨み付けた。

会社に来たくない美紗を、上司に掛け合って留めているのは、オレ。

美紗の返答にショックを受けながらも、美紗が小田さんに『辞めろ』と嫌味を言われるのに罪悪感を抱く。

「・・・・・・」

美紗は何も言い返す事なく、目を伏せながらオレらにも頭を下げ、自分のデスクに戻って行った。
< 134 / 312 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop