漂う嫌悪、彷徨う感情。
真琴からメールをもらうまで、美紗が言った『新しい彼氏とどこかへ行く』というのは、美紗が自分を悪者に見せかける為の嘘だと思っていた。
美紗の有給の計画を知るはずもない真琴が知っているという事は、真琴のメールの内容は本当なのだろう。
『いいの?? 2人で旅行に行かせて』
真琴がメールでオレを煽る。
いいわけがない。 大人の男女が温泉に行くなど・・・そういう事でしかない。
デスクに両肘を付き頭を抱えていると、ふと『美紗ちゃんに謝りたい』と言っていた親の事が頭を過った。
真琴の事もさることながら、両親とも連絡を絶っていた。 親さえも許せなかった。 真琴を産み、育てた親が憎かった。
家族の誰1人して、美紗に近付いて欲しくなかった。
「・・・オレは、謝らなくていいのか??」
こんな事になってしまった事を、オレは美紗の母親に謝罪どころか連絡さえしていなかった。