漂う嫌悪、彷徨う感情。
温泉まんじゅうの箱の横にお茶を置いた美紗が、オレの隣に座った。
やっぱり、今日の美紗はおかしい。 前にみたいに普通に接してくれる。 普通な美紗を『おかしい』と感じてしまうオレの方がおかしくなっているのだろうか。
「・・・別に腹減ってただけで、無理してるわけじゃ・・・。 お茶、ありがとう。 もらうね」
美紗が持ってきたお茶に手を伸ばす。
まんじゅうに唾液を持って行かれた事もあるが、何か変に緊張して口の中が乾く。
「だったらどこかに食べに行けばいいじゃないですか。 おみやげがみんなに喜んでもらえなかったのは残念ですけど、そうなる原因を作ったのは自分なので、別に落ち込んでないですよ、ワタシ。 大丈夫です」
美紗が笑顔を見せながら、まんじゅうの箱に蓋をした。
「・・・別に、ただ甘いものが食べたかっただけだし」
「嘘吐き。 佐藤さんが甘いものを食べたくなるわけないじゃないですか」
『ふふふ』と息さえ漏らしながら笑う美紗。
美紗の笑顔が見れて嬉しいのに、困惑してしまう。