漂う嫌悪、彷徨う感情。
「で、彼氏の家に行ったら真琴がいて動転しちゃったわけだ」
疑問が解けた日下さんが『なるほどねー』と呟いた。
「彼に中学の頃の話を聞いた事があったんです。 ワタシは受験しなかった組が行く地元の中学に行っていたんですけど、彼は私立の進学校出身でした。 彼に妹さんがいると聞いた時、『きっと彼と同じ中学に行ったのだろう』と掘り下げて聞きませんでした」
どうしてもっと深く聞かなかったのだろう。 どうして。 どうして・・・。
「もしかして美紗ちゃん、『どうしてもっと詳しく妹の事について聞かなかったんだろう』とか思ってる?? だとしたら、彼氏の妹が真琴だって分かった時点で別れてたの?? 美紗ちゃんをいじめていたのは真琴でしょ?? 彼氏は何も悪くないんだよ。 自分が選んで真琴を妹にしたわけでもなければ、立候補して真琴の兄になったわけでもないんだよ??」
日下さんがワタシの胸の内を見透かした。