青涙
3blue
好きじゃない…。

好きじゃない。

好きじゃない!

好きじゃない!!

好きじゃない!!!

100回言い聞かせたのに

どうして好きじゃなくならないの?

当たり前…だよね…。

でも、私…好きでいちゃいけないんだよ?

今すぐにでも…好きになる前の自分に戻りたいの。


お願いします。神様。

私を…元に戻して下さい。



「おはよーす。魔王」

パンッ!!

平太はそう言うと、変人とハイタッチをする。

「おはよう」

「………」



神様。私の願いを…

聞いては…くれなかったのですね…。

「ううっ…」

「おい。お前何で泣いてんだよ」

「ううっ…ト…うっ…イレ」

「トイレって、お腹痛いのか?」

教室を飛び出して廊下を走っている間も

頭に浮かび続ける変人の顔。

神様。

私はもう…元に戻れないのですね…。


「お腹はもう大丈夫なのか?」

「うん…。大丈夫…」

「賞味期限のきれた牛乳でも飲んだか?」

「そうかも…」

「だったら未子もお腹壊してるんじゃないのか?
おい! 魔王! 様子見に行けよ!」

変人が椅子から立ち上がる。

「大丈夫! お姉ちゃんは牛乳嫌いで飲まないから!」

「そうなのか?」

「………」

「彼氏なのに分からないのか?」

「お前もお姉ちゃんと親友のくせに分からないのか?」

「那子。こいつに未子の嫌いなものをノートに書いて渡してやってくれ」

「殴るよ」

「俺は殴られたくないから。魔王。お前が直接頼め」

えっ…。

変人がこっちを見る。

…と同時に私は目をそらす。

「…お願…」

「分かった。渡す」
< 34 / 120 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop