青涙
「この顔か。一度しゃべったことがあるな。
確か、“変わってるな”って言ったぞ」

「で…ううっ…しょ?」

「でも、何でそんな事言ったんだろうな。
どうみても、こいつ普通だろ?」

「どこううっ…が!!」

さっきの行動のどこが普通じゃ!!

本当、いつも、いつも、テキトーなんだから!!



十勝平太(とかちへいた)。16。

赤ちゃん時代に知り合い、保育園から現在の高校1年までずっと同じクラス。

私の一番の親友だ。

平太のバカ!! もう…

「なっううっ…に!!」

3度目を試みようとしている変人をにらみつける。

だが、変人は表情をかえず、私の左頬にトイレットペーパーの紙をあてる。

「こいつ“なに!!”って言ったんだ」

「分ううっ…かううっ…るでううっ…しょ!!」

何、通訳みたいな事言ってんだ!!

「あっ、今のは“分かるでしょ!!”って。
“分かるかよ!!”って感じだよな」

「へううっ…いた!!」

「“へいた!!”俺の名前な。で、何だ?」

「黙っううっ…て!!」

「“黙って”何で」

「うううっ…るさううっ…いううっ…の!!」

「“うるさいの!!”どこが?」

「もううっ…う!!」

「“もう!!”こいつの方が変人だよな?
あれ?
居ねぇ」

私達がくだらない言い合いをしている間

あの変人は忽然と姿を消していた。
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