青涙
「それは…」

「せっけんじゃなかったわ」

そうですか…。

「……じゃあ、何だったの?」

何でもいいけど…。

「それが…」

「お邪魔しまーす」

「平太?」

「平太…」

「よっ!」

「“よっ!”じゃないわ。
何しに来た!」

「那子、平太くんにそんな言い方しないの。
平太くん。いつでもここに来ていいからね?」

「本当ですか?
ありがとうございます」

「毎日来られたら迷惑なんだけど」

「那子、平太くんに毎日会いたくないの?」

「ほぼ毎日会ってますけど?」

学校で、嫌でも会いますけど。

「………。
那子、平太くんを自分の部屋に連れて行きなさい」

「嫌だよ!!」

「ちょっと待って」

お母さんがキッチンに行く。

「だから、嫌だって!!!」

お母さんはキッチンから戻ってくると

「これも持っていってね」

オレンジジュース入りのコップ二つをのせたお盆を私に渡す。

「お母さん…。嫌なん…」

「おい。
ここがお前の部屋か?
入るぞ」

平太がある部屋のドアノブを掴む。

「ダメ!!!
そっちはお姉ちゃんの部屋!!!
私のは奥の方の部屋!!!!」

「そっか。
じゃあ、入るな」

「あっ…」

ガチャッ。

バタン!

入られて…しまった…。

「二人きりで楽しんでね」


「楽しくない!!! ううっ…」
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