青涙

ガチャッ。

自分の部屋を開けるとすぐ目の前に平太が居た。

「意外に部屋ん中きれいにしてんだな」

「すわ…ううっ…れ」

「座れ?
座ってるけど?」

「ゆ…うっ…か…に!!」

私のベッドの上に座んな!!!

「床? ああ…。ベッドの上が嫌なのか…。
じゃあ…あの椅子とかは…」

平太が私の勉強机の椅子を指さす。

「ゆ…うっ…か…に!!!」

「分かった。分かった。
座る。
っていうか、お前。
何で泣いてんだ?」

「あん…うっ…たの…ううっ…せいでしょうが!!!」

嫌って言ってるのに…

勝手に入りやがって!!!

「はっ?」

分かんないのかよ!!!


もう、いいや…。

さっさと帰ってもらおう。

「で、何…ううっ…の用?」

「用?」

「うん…」

「ないけど」

はっ?

「な…うっ…い?」

「ああ」

「ない…うっ…なら、帰…ううっ…れ。
今す…ううっ…ぐ帰れ!! 飲むな!!!」

平太が一つのコップを手に取り、オレンジジュースを飲む。

「うまい」

「帰…」

「なかったけど。
ここに来て出来た」

「出来…ううっ…た?」

「ああ。
お前に話がある」

「何…うっ…よ」

話って…。

「俺…。
さっきおばさんにさ…」

「気に…ううっ…するな」

「えっ?」

「お母…うっ…さん。
変な事…うっ…言ったん…うっ…でしょ?
“私を女…ううっ…として…うっ…見てくれ”って」

「ああ…。
お前も言われたのか?
俺を…」

「言わ…うっ…れたよ。
“男とし…うっ…て見てみれ…うっ…ば”って」
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