空にとけた夜の行方。


**



白い光の眩しさに、意識が覚醒した。


「んん……」


喉から間の抜けた音を出しながら、私はゆっくり目を開ける。部屋を満たしていたのは、朝陽の明るすぎる光だった。


カーテンが、開いているらしい。お母さんが開けたのだろうか。


「みよ、ちゃんと布団で寝なさいって言ったでしょう」


むくりと身を起こした私に、お母さんが咎めるような声をかける。


そうか、昨夜はあのまま眠ってしまったんだ。オーブンにはきっとカップケーキが入りっぱなしだろう。少し、失敗した。


けれど私は、キッチンよりも先に、窓の方へと向かっていた。それは無意識とでも言うのだろうか、特に明確な理由はなかったのだけれど。


そこに広がる空は、澄んだ水色をしていた。当たり前、なのだけれど。眠りに落ちる前に在ったあの色を思い出してしまうと、不思議な気分になる。


あの、色は。色んなものを内包したような闇色は、何処へ行ったのだろう。私の心を写していたような色は、何処へ?

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