意地悪な片思い

『彼と会うの頑固避けてたり、接点なくすために何かしてるならそれは確実にアウトだから。

もう気になってる以外のなにでもないね♪♪』
 語尾につけられた二つの音符の絵文字がおちょくるように踊っている。

『なんで?』

『このまま話してたら好きになっちゃう!とかそういう類に入りそうだもん、みのりだったら。』

『またまた~!』

『私の目を誤魔かそうたって無駄です。』

 私は少し既読をつけるのをためらいながらまたスマホを開いた。連投したのかまた新たに彼女からメッセージが届いている。

『だけど私だったら絶対もうコロリと好きになってるなぁ。
そんなSっ気な感じでアピールされちゃうと!』

「でしょうとも…。」
 
 私と遥は仲が良いのに、恋愛に対する向き合い方が違いすぎる。私は慎重、遥は…猪突猛進。

『私は違うもんね。』

少し時間をおいて返信したというのにそれを無視して彼女から勢いよく連絡がきた。

『とかいって』

『もう気になってるくせに~。意地はるのはかわいくないぞー!』

遥、絶対面白がってるな…。
にやにやとほくそ笑む彼女のお得意の表情が目に浮かぶ。

『うるさいな~!』

『うるさくないです~。

にやにやにや。』

…面白がってるじゃん。


『おにぎり生活頑張って、速水さんによろしく♪♪』

そして、おやすみとかかれたスタンプがそのあと続く。

遥…嫌味ったらしく送ってきちゃって。
っていうか速水さんともう関わるときないし!


そう、思ってたのだけれど。

< 30 / 304 >

この作品をシェア

pagetop