意地悪な片思い
自分が避けるのと、避けられるのとじゃ違いすぎるってこと…なのかな。
「避けられてたって分かって傷つかないわけない。」
時間が経ってもまだあの言葉と表情が思い浮かぶ。
見慣れた意地の悪い表情が、眉をさげて切なそうに笑うその―――。
やっば!
私はガシャガシャとバックスペースと書かれた文字のところを連打した。
……せめて謝りたい。
避けてた理由は嫌いだとかそういうんじゃないよって。もっと複雑なものだよって。
でもきっと、私が彼の後ろ姿しか見れていないのはそういうことなのだろう。
彼が私に一度も目を合わせてくれないのはそういうことなんだろう。
消しそびれていた“わけない”という画面上に表示された4文字を少しの間凝視して、
4回キーボードを私はまた叩いた。