クール上司の甘すぎ捕獲宣言!
「前にも言ったよな?俺の気持ちを勝手に推し量るな、って。また、一人でいろいろ考えてたのか?心配だったら、俺に何でも話せ」

小野原さんの指が、私の涙をそっとすくう。

「……だって……小野原さん……その時、何も言わなかったから……嫌われたんじゃないかと思って……不安だったんです……」

「ああ、それはあの時、あの場にいたのは俺達だけじゃなかったからだ」

「えっ?」

「資料室に入った時、男女が言い争ってるのが聞こえた。近付くにつれて、それが香奈と江田だと分かった。江田が香奈の肩を押さえ付けてるのを見た時、カッとなって殴り飛ばしたくなったけど……それを抑えた。江田を早く香奈から離すことで頭がいっぱいだった。その後、誰かが資料室に入ってくるのが分かったんだ。香奈は気付かなかったか?」

「……はい……全然……」

……だって……小野原さんのことしか見えてなかったから……。

「俺もあの後すぐに、出張に出る予定だったから急いでるのもあって……それに、俺と二人でいる所を誰かに見られたら、俺はいいけど、香奈がいろいろと噂の的にされるのは嫌だと思って」

……それで、早く戻るように言ったの……?

「じゃあ……もしあの時、誰もいなかったら……私に声かけてくれてました?」

「……多分、それだけじゃ済まなかったな」

「え?」

「江田に押さえられた所がどうにもなってないか服を脱がせて確認して、それから……」

「わっ、も、もういいですっ!」

涼しい顔して何言ってるんですか!


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