婚前同居~イジワル御曹司とひとつ屋根の下~
それなら私の報告は午後になってからにした方がいいか、と私は踵を返した。
その時。
「……はあ? なんで俺を通すんだよ。用があるなら自分で電話すればいいだろ」
呆れたような声が背中で聞こえて、私は思わず樹さんを振り返っていた。
そのタイミングで彼が目を上げて、振り返った私と目が合ってしまう。
それに気付いた樹さんが表情も変えずに、私にちょいちょいと手を翳して合図していた。
『私?』と訊ねるように自分を指さして見せると、樹さんもPHSを手にしたまま『そうそう』と言うように首を縦に振っていた。
それを確認してから、私はもう一度彼のデスクに足を進める。
「あ、あの……。樹さん?」
どうして呼ばれたのか考えながら首を傾げると、樹さんは耳から離したPHSを私に向かって差し向けた。
「親父。お前に話があるって」
「えっ、社長っ……? わ、私ですか?」
私は樹さんからPHSを受け取って耳に当てながら、「もしもし?」と応答した。
すぐに社長の明るい声が、「やあ、帆夏さん」と呼び掛けてくる。
「お、お疲れ様です、社長。あの……私になにかご用でしょうか?」
ちょっと探るような問い掛けをした私の耳に届いたのは、ランチのお誘いだった。
その時。
「……はあ? なんで俺を通すんだよ。用があるなら自分で電話すればいいだろ」
呆れたような声が背中で聞こえて、私は思わず樹さんを振り返っていた。
そのタイミングで彼が目を上げて、振り返った私と目が合ってしまう。
それに気付いた樹さんが表情も変えずに、私にちょいちょいと手を翳して合図していた。
『私?』と訊ねるように自分を指さして見せると、樹さんもPHSを手にしたまま『そうそう』と言うように首を縦に振っていた。
それを確認してから、私はもう一度彼のデスクに足を進める。
「あ、あの……。樹さん?」
どうして呼ばれたのか考えながら首を傾げると、樹さんは耳から離したPHSを私に向かって差し向けた。
「親父。お前に話があるって」
「えっ、社長っ……? わ、私ですか?」
私は樹さんからPHSを受け取って耳に当てながら、「もしもし?」と応答した。
すぐに社長の明るい声が、「やあ、帆夏さん」と呼び掛けてくる。
「お、お疲れ様です、社長。あの……私になにかご用でしょうか?」
ちょっと探るような問い掛けをした私の耳に届いたのは、ランチのお誘いだった。