婚前同居~イジワル御曹司とひとつ屋根の下~
「ちゃ、ちゃんと近付いてる! だ、だって私、樹さんにキスしてもらったんだからっ……!!」
そう叫んでしまったのは咄嗟のことで、全然考えなしだった……ことは否めない。
私の隣で樹さんは食前酒をブッと吹き出し、父は呆気にとられ、社長は目を細めて「ほお」と呟いた。
「なっ……。生駒、お前なに言って……!」
ゴホゴホと噎せ返って咳き込みながら、樹さんが声を上げた。
その手が私の腕をグッと掴み上げる。
「あれはキスじゃない。そう言ったろっ!?」
「ご、ごめんなさ……でも、あのっ……」
慌てて取り繕おうとした時には、どうやら既に遅かったようだ。
父も社長もニヤニヤしながら私と樹さんを交互に見遣ってくる。
「なあ、樹。どういう思惑であろうが、しでかした行為は『キス』だったんじゃないのか」
事実だけを言え、と言うように、社長は樹さんに向かって目力を込める。
人の上に立つ人間の威圧感からか、樹さんもさすがにグッと息を飲んだ。
そして、樹さんの沈黙は社長にはとても満足だったらしい。
「つまり、手を出したってことだ。男ならそこは認めろ。往生際が悪い」
有無を言わせぬ言い方に、樹さんはとても不愉快そうに眉を寄せて肩で大きな息をした。
そう叫んでしまったのは咄嗟のことで、全然考えなしだった……ことは否めない。
私の隣で樹さんは食前酒をブッと吹き出し、父は呆気にとられ、社長は目を細めて「ほお」と呟いた。
「なっ……。生駒、お前なに言って……!」
ゴホゴホと噎せ返って咳き込みながら、樹さんが声を上げた。
その手が私の腕をグッと掴み上げる。
「あれはキスじゃない。そう言ったろっ!?」
「ご、ごめんなさ……でも、あのっ……」
慌てて取り繕おうとした時には、どうやら既に遅かったようだ。
父も社長もニヤニヤしながら私と樹さんを交互に見遣ってくる。
「なあ、樹。どういう思惑であろうが、しでかした行為は『キス』だったんじゃないのか」
事実だけを言え、と言うように、社長は樹さんに向かって目力を込める。
人の上に立つ人間の威圧感からか、樹さんもさすがにグッと息を飲んだ。
そして、樹さんの沈黙は社長にはとても満足だったらしい。
「つまり、手を出したってことだ。男ならそこは認めろ。往生際が悪い」
有無を言わせぬ言い方に、樹さんはとても不愉快そうに眉を寄せて肩で大きな息をした。