婚前同居~イジワル御曹司とひとつ屋根の下~
再びサラッと頬をくすぐる髪に、不覚にもビクッと身体を震わせてしまう。
それでも樹さんの手が離れるのを感じて、身体から力を抜いてホッと息をついた、その時……。


「っ……!!」

「チームリーダーが直々に勉強会してやってんのに、まったく集中出来ない部下じゃ困るんだけど」


そんな意地悪なことを言いながら、一度引っ込めた手を再び私に伸ばしてくる。
その手が今度は髪じゃなく私の首の後ろに回され、ツツッ……と指でうなじをくすぐった。


「ひゃうっ……!!」


ゾクッとした刺激に抗えず、とうとう変な声を上げてしまった。
それを聞いて、樹さんはニヤッと口角を上げて満足そうに笑った。


「色気のねえ声で騒ぐなよ。ここがどこだと思ってるんだ。オフィスの会議室なんだけど?」

「い、樹さんこそっ……! そのオフィスの会議室の勉強会で、真面目な話しながら意地悪するの止めてくださいっ……!」

「嫌ならさっさと逃げろって言ったろ。なのに、逃げねーわりには仕掛けてくる気配もなくて張り合いがない。こっちも退屈なんだよね」


そ、そうは言われても……。
次々に仕掛けられる意地悪な悪戯から逃げずに、しかも反応しないようにするだけで精一杯だ。
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