婚前同居~イジワル御曹司とひとつ屋根の下~
「僕は、やっぱり樹君は帆夏ちゃんを大事にしようとしてるんだと思う」

「……え?」

「君と同じ気持ちで政略結婚を受け入れようとしてくれてる。それで、不慣れな君が仕掛けられないから、自分の方から仕掛けてる。……まあ、帆夏ちゃん免疫ないみたいだし、怯んじゃうかもしれないけどね」


義兄がそう言って、目を細めて穏やかな微笑みを私に向けた。
そして、チラッと姉の方に目を向ける。


「まったく……いつも思うけど、君と帆夏ちゃんは全く真逆の姉妹だね。足して二で割ればちょうどいいのに」

「うるさいわね。さっきも言ったでしょ。帆夏は帆夏でちゃんと焚き付けてるのよ。日本経済の将来を背負って立つような男を。どこまでも無垢な顔して。……むしろ私より性質悪いわ」


皮肉られた姉がムッとしたようにそう言いのけた。
そして、なにも言えずにいる私の前で大きく足を組んで、小首を傾げる。


我が姉ながら。
清々しい休日のひと時ながら。
ドキッとするくらい妖艶だ。
ほんと、姉の半分でも私に色気があったら、樹さんに少しは反抗出来るのに……。


「帆夏。そこで逃げてたら、本当にこの縁談、破談になるわよ」


見惚れていた私に、姉は涼しい顔をしてそう言い放った。
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