婚前同居~イジワル御曹司とひとつ屋根の下~
有名建築デザイナーの手に寄るモダンでオシャレな外観を見ているだけでも、選ばれしハイステータスの人間の為の居住空間というのが痛いくらいわかる。


グランドエントランスにはコンシェルジュが常駐。
最上階には居住者専用フィットネスジムまで完備されてると聞いた。


こんなすごいマンションの高層階各部屋の3LDKを、たった三ヵ月お試し同居の私たちの為に、社長はポンと買い取ったと聞いた。
どうせ三ヵ月後には樹さんから三下り半を下され、私はここに住めなくなる。
そうなったら売りに出さなきゃいけなくなると思うのに……。


そんなことまで深く深く考えて、私は大きく肩を落とした。


いや……それでも、まったく望みがないわけじゃない。
もしかしたら、百万分の一くらいの確率で、私と樹さんの相性はピッタリ!っていう結果が出るかもしれない。
まあ、あくまでも確率の話。
この半年まったく見向きもされなかった私じゃ、樹さんに好きになってもらうなんて、ほとんどゼロに近い確率しかないかもしれないけど……。


スーツケースを手にマンションのエントランス前に佇み、大きく建物を見上げながら肩を落として浮かない顔で溜め息をつく私を、住人らしい夫婦が胡散臭そうに見遣りながら通り過ぎて行った。
< 17 / 236 >

この作品をシェア

pagetop