婚前同居~イジワル御曹司とひとつ屋根の下~
朝少し遅めに起きてきた樹さんと顔を合わせた瞬間には、意地悪な囁きを思い出して、それだけでまたしても心臓がバクバクと打ち出した。
樹さんの方はちょっと二日酔いなのか朝から浮かない表情だったけど、私を見てもいつもと変わらない素っ気なさだったから、きっと昨夜のことは覚えていないんだろう。


とは言え、私の方はとてもじゃないけどまっすぐ彼を見ることは出来ず……。
せっかくの休日、すぐそこに樹さんがいるのに、声を掛けることも顔を見ることもせず、一人部屋に閉じ籠って過ごしてしまった。


リビングでテレビを観て過ごす樹さんの気配だけを感じながら、気付けば、窓の外の陽はどっぷり沈んでいた。


昨夜から私、なにをやってたんだ……と、さすがに自己嫌悪に陥る。


お試し同居の意味もない!なんて言っておきながら、これじゃあますます意味がない。
ただ同じ屋根の下で気配を意識しながら生活しているだけで、わかり合うどころか歩み寄りもない。
樹さんの方は、今日一日、きっと私の存在すら忘れてたことだろう。


無駄にドキドキしている私の寿命が一日ごとに縮まるだけ。
三ヵ月経つ頃には、もしかしたら寿命が尽きて死んでしまうかもしれない。


……なあんて笑えない冗談にハッとして、私は部屋の電気を点けながら意を決した。
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