婚前同居~イジワル御曹司とひとつ屋根の下~
まるで打ちひしがられたように声を消え入らせていく樹さんの頭のてっぺんを見つめながら、私はクスッと小さく笑った。
そして、その言葉に返事をしようとして……。


「……つまり、お前も出会ってからこの半年、俺を騙して楽しんでたってことか」

「えっ!?」


まるで地の底を這うような低い声で被せられたその言葉に、私はギョッと目を見開いた。
私の声を聞いて顔を上げると、樹さんは強い憎しみすら感じられる力のこもった瞳で、私をギロッと睨み付けてくる。


さすがに私も竦み上がり、肩を強張らせて全身を硬直させた。


「おかしいと思ってたんだよ。出会ったその日からバカじゃないかってくらい『好きです好きです』って。どこか一本頭の弱い女なのかと思ってたけど」

「で、でもそれは、私本当に……」

「なるほどね。利害関係のある政略結婚相手だからか」


私の声には全く耳を貸さずに、樹さんは険しく眉を寄せて、ハアッと大きな息を吐き出した。


「ずいぶん軽く言う女だなって思ってた。そりゃあ、本心じゃないんだ。言うだけなら簡単か」

「ち、違いますっ! 私っ……!」

「あ~、俺、女なら誰でも見境ないって男じゃなくて良かった。言っとくが、俺はこんなの認めねえ。まだ半分以上残ってる俺の人生、お前なんかに縛られてたまるか。……いくら会社の為でも」
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