婚前同居~イジワル御曹司とひとつ屋根の下~
色仕掛けなんて。
私って、そんなことしそうなタイプに思われちゃうわけ……?


ズーンと落ち込む私の隣で、樹さんはピクッと眉尻を上げ、ふんとそっぽを向いた。


「被害でもなんでもないけど。生駒の色仕掛けなんかに屈したら、男として終わったも同然。ほぼ屍だろ」


更に酷い樹さんの言葉に、私はもうなにも言い返す気にもなれず、割れるんじゃないかと思うくらいぎゅうっと力いっぱいボトルを握った。
だけど、青木さんはまだニヤニヤしたまま、


「屈してるんじゃないの~? 実は」


と、樹さんに畳み掛ける。
「はあ?」と苛立ち紛れに聞き返す樹さんに、青木さんは更に一歩踏み込み、グッと顔を上げて彼の顔を覗き込んだ。


さすがに樹さんもテーブルに追い込まれ、大きく背を仰け反らせる。


「なにが言いたいんだよ、さっきから。変に含ませてないでさっさと……」

「『お前の裸見る男なんて、後にも先にも一生俺だけ』って」


青木さんは、さっきの樹さんの言葉を繰り返しながら、不機嫌な彼をあっさりと遮った。
顎を引いて見下ろす樹さんを一瞬ジーッと見つめた後、ニッコリ笑って一歩退く。


「言い換えればさ、『見るのは俺だけでいいんだよ』って言ってるようにしか取れないって。独占欲丸出しに聞こえちゃたんだけど~?」
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