恋愛の始め方
「くれぐれも無理だけはするなよ。裁判沙汰になっても困るし」

「わかってる」

「頼むから、自分を潰すようなことはするな」


真剣な眼差しで、直哉から言われる。

それは、病院側の立場から言っている言葉じゃ無い。

直哉があたしのことを心配し、あたしの為に言ってくれている言葉だと理解している。


「大丈夫」

「お前の大丈夫ほど、俺は1番信じられねぇよ」

「ちゃんと、わかってる。それに、あたしも嫌だし。医師免許停止されるの」


救える命を、ただ呆然と見過ごしたく無い。


「わかってるなら良い。晩御飯、まだだろ?どっかに、食べに行くか?」

「まだだけど、今日はやめとく。明日も仕事あるし」


そう言い、帰る為に立ち上がる。

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