恋愛の始め方
電車から降り、バスに揺られる。


「相変わらずの田舎」


窓から見える景色に、自然と笑みが浮かぶ。

家から一番近いバス停で降り、家を目指して歩く。

田んぼや畑ばっかの田舎だけど、落ち着く。

10代の頃は、3、4時間に1回しかバスが来ない、こんな町が嫌だった。

コンビニもない、一番近いスーパーまで車で40分も掛かる不便な町。

だけど、この町は生きやすい。

都会みたいに、時間に追われることもない。

ゆっくり過ぎていく時間は、自分を見つめ直すのに丁度良い。

バスを降り、あたしはゆっくりと息を吸い込む。

どこも同じ空気なはずなのに、この町の空気は心を落ち着かせてくれる。

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