恋愛の始め方
中々捕まらないタクシーを諦め、歩いて向かおうと歩みを進めた時。

あたしの横に、1台の車が停まる。


「乗りますか?」


助手席の窓が開かれ、そう声を掛けられる。

その声に、あたしは視線を移す。


「・・・間宮、先生」

「乗りますか?」


間宮は、再び同じ質問をあたしに投げかける。


「どこ行きですか?」


あたしは間宮の質問に、質問で返す。

そんなあたしに、間宮はフッと鼻で笑う。


「どこまででも」

「タクシー代、高そうなんですけど」

「可愛いから、安くしとくよ」


間宮は、冗談のつもりで言ったのだろう。

だけど好きな人から言われる「可愛い」は、卑怯なほど胸をドキドキさせた。

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