どん底女と救世主。
***
「ここを右か」
「…はい」
「おい、やる気あるのか?」
あるわけないでしょう、なんに対するやる気ですか。
なんて、わざわざ私の荷物を取りに行くために車まで出してくれてる課長にそんなこと言えないけど。
まずは駅のコインロッカーに預けていた荷物を回収して、嫌々マンションに向かっている私は道案内に覇気がなく課長に呆れられている。
コインロッカーでも延長料金を取られるし、やっぱりマンションには行きたくはないしでなかなか気乗りしない。
でも、これは避けられない道だ。
課長の好意を裏切らないためにも、ここは気合を入れないと。
シャキッとしろ、咲。
どんどんと見慣れた道になって行くと同時に嫌に激しく波打つ鼓動を抑えながら道案内をしていると、ついにマンションへと着いてしまった。