どん底女と救世主。
部屋の前まで辿り着いたときには、もう心臓が痛いほど鳴り響いていて、心なしか膝も震えている気がする。
フラッシュバックされるのは、あの日のふたりが絡み合う姿。
気持ち悪い…。
あの日、この扉を開けると同時に飛び込んできた光景が頭に浮かび、鍵穴に鍵を差し込んだはいいけれどなかなか回せないでいると、
ーーーーぽん。
体感では数分間、ただ突っ立ていただけの私の背中に温かなぬくもりが降ってきた。
振り返ると、荷物を持ってやると言って付いてきてくれた課長の姿が。
大丈夫だと言うかの様に、背中に置かれた手は大きくてごつごつしていて、それでいて温かい。
底知れぬ安心感が背中越しに伝わってくる。
そのまま背中を押した課長に合わせて、鍵を回し部屋に足を踏み入れた。