どん底女と救世主。
ごはんの時以外はお互い部屋に閉じこもっているし、電車通勤の私は、車出勤の課長より早く家を出るため朝も挨拶程度。
本当に間借りしてるだけって感じだ。
夕飯を一緒に食べたりもするけど、盛り上がるわけではないぽつりぽつりと交わされる会話も居心地が良い。
課長の帰る場所が、私の帰る場所になった。
不思議だけど、これが現実で。
いまだに、なんで私と課長が一緒に暮らしてるんだろう?
とか、ふと思ってしまうこともあるけど、何だかんだこの生活にも慣れてきた。
今日もやっぱり慣れた手つきで課長の家を合鍵で開け、さっさと部屋に入ると手を洗って晩ごはんの準備を始める。
今晩のメインは秋刀魚。
近くのスーパーで綺麗な目をした上物が売っていて、すぐにカゴに入れてしまった。
今日はハンバーグにしようかな、なんて思ってたのにな。
やっぱり、旬の食材には勝てない。