どん底女と救世主。



課長のお姉さんにもらったチョコレートを箱ごとラグの上に落としてしまった。

この人、いくつ爆弾投下すれば気がすむの?


「な、なにを言ってるんですか。冗談にも程がありますよ」


意外と深山課長って冗談とか言う人?そうだよね。

本気のわけない。心の中でそう唱えながら、痛いほどに暴れだした心臓を落ちつかせる。

静まれ、私の心臓。こんな冗談に振り回されてどうする。


課長はどんな顔して私をからかってるんだろうと、課長の顔を見ると。

意地悪そうな顔でも、冗談を言ってる顔でもない。

真面目で真剣な表情の課長が、そこにいた。



「冗談じゃない。俺はお前のことアリだけど」

「いや、アリとか言われてもっ…!」


< 98 / 260 >

この作品をシェア

pagetop