年下男子とリビドーと

基本的な流れの説明の後、専門的な内容の説明は社員さんにバトンタッチした。
夜9時の終業時、やっと終わったと伸びをしていたら、成海くんがわたしの方に向き直って歩いて来た。

「冴木さん、今日はありがとうございました」
「あっ、あんな説明でわかった?」

わたしは少し八の字に眉を下げて、笑顔で返した。

「……次いつ出勤ですか」
「え?明後日だけど……」

「僕も明後日です。またよろしくお願いします」

彼は頭を下げて帰って行った。
やけに礼儀正しいな……?


案外、今の若者はきっちりしているのかも。
カンカンと足音が響く外付けの階段は、今日のボールペンのやり取りを思い起こさせた。
ドアの前まで来て、部屋の明かりが付いていることに気付く。
中へ入ると、ベッドに腰掛け寛いでいる人が居た。

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