空の上から愛してる


窓側で友達と仲良く喋っている先輩を発見した。

太陽の光でピアスがきらりと光っている。
色の抜けた髪の毛が、最近黒くなって一瞬誰だか分からなくなる。


学校ではいい人を演じて、あたしの前では悪魔になる。
一見想像もつかない。


でもあなたは悪魔…。



「お!百合じゃん!」



廊下から覗くあたしに気付いた先輩。
笑顔でこちらに向かってくる。



言わなきゃ。
言わなきゃ何も始まらない。



「どーした?」



「いい加減指輪返して!!」




この一言からゲームがスタートする。



「は?指輪?なんのこと?」



「とぼけるのもやめて。持ってること知ってるんだから」




「お前指輪してんじゃん。」



そう言って、あたしの手をぎゅっと握る。
きらりと薬指の指輪が光る。



違う。
これは偽物。
あたしが優くんを不安にさせないように、似たような指輪を買ってはめているだけ。



本物は、あなたが持っているはずよ。



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