空の上から愛してる


偽物。
にせもの。
ニセモノ。


それを知った優くんはどう思うだろうか。
きっと悲しむよね。

でも不安にさせたくない。
だからこうするの。



「これは本当の指輪じゃない!!本当のは先輩が持ってるでしょ!?」



「あー?何のことだっけ?てか一緒に回ろうぜ?ヒマだろ?」



「な、なんで!?」



無理矢理、手を引っ張り歩き始める先輩。
なんて勝手な人なの?
あたしの気持ちも知らないで。



あたしは抵抗して手を振りほどく。
肩で呼吸をして、先輩を睨み付ける。



「百合、そんな態度でいいわけ?アレ、見せるよ?」



にやりと不適な笑みを浮かべる。
それを見たらぞっとした。



「返して!返して!返して!」




先輩の体を叩きながら主張をする。
まるでおもちゃを取り上げられた子供のよう。




あたしの大事なものを返して…。



「返すわけねぇだろ!鬱陶しいな。」




あなたは心まで悪魔だ。



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