空の上から愛してる
何度言っても、先輩は返してはくれなかった。
あたしは諦めて、教室に戻ることにした。
結局優くんと一緒に過ごせなかったし、最悪な日だ。
涙を拭いて上を見上げる。
下ばかり向いていてもいいことはないから。
「優くん?たこやきどうだった?」
教室には優くん、斉藤くん、沙紀の姿があり、どこかで安心をしていた。
「めっちゃ流行った!」
「すごいじゃん」
笑顔で質問に答える優くん。
それだけで今のあたしには十分。
掃除が終わったあと、優くんは沙紀に呼び出されていた。
何のことだろうと気になったけれど、気にしないでおこう。
そんな時、斉藤くんにこんなことを聞かれた。
「小林は優のことが好きか?」
少し寂しげな瞳を浮かべ、じっとあたしを見つめる。
そんなの…決まっているじゃない…。
静かに口を開けて、言葉を漏らした。
「あたしは…優くんのこと…」
あなたの笑顔を見る度、胸が苦しい。
気持ちが伝わらないからだ、きっと。
「…好きすぎる…」
好きすぎるよ…
だから優くんもあたしと同じ気持ちであって欲しい。
けれど、幸せな時間はろうそくの火のように、やがて消えてしまうのだった…。