いつか、このどうしようもない想いが消えるまで。
「……!?」
息をのむ。
目の前の現実に頭がついて行かなくて思考が一旦停止する。
律くんと小野先生の……あの現場を見たときのように。
だって、部活中に教室に上がってくることなんて今まで一度もなかった律くんがそこにいるのが理解できないから。
「どうし……」
言い終わらないうちに律くんはまっすぐあたしに歩みよる。
いや、猛進して来ると言った方が正しいかもしれない。
獲物を捕らえて離さないかのような視線は心まで射抜かれるような威力があり、思わず逸らしたとき。
律くんはあたしの腕をつかんで黒崎くんから引き離した。
はずみで、整然と並んでいた机たちが無造作に動く。
「なにしてたの」
と、もう一度。
なにを……。
そう聞かれてなにをしていたのかと考えれば、黒崎くんから衝撃の話を聞いて。
黒崎くんを抱きしめて……。
机に目を落とせば、湿布薬の袋が目に飛び込んでくる。