もしもの恋となのにの恋
メール
かつてのクラスメイト、浅野葵(あさのあおい)から届いたメールは実に簡素なものだった。
私はその簡素なメールの文章を読み終えると大きな溜め息を無意識のうちに吐き出していた。
あれからもう、三年と半年と言う歳月が過ぎ去ったのか・・・。
時が経つのは本当に早い・・・。
このところ、特にそんな事を思う。
私はぼんやりと浮かんでは消えていく、かつての残像たちを空虚の狭間に見つめ見た。
私と浅野葵は小学校からの幼馴染みだった。
けれど、その付き合いも高校三年の秋を境になくなってしまっていた。
私たちは高校三年の秋に仲違いをし、それ以来、私たちはお互いに言葉を交わすことも連絡を取り合うこともなく高校を卒業し、お互いに違う道を歩んで来ていた。
それなのに・・・だ。
私は真っ黒になったスマホの液晶画面を睨むように見つめ、もう一度、大きな溜め息を吐き出した。
本当に面倒な女だ・・・。
心からそう思うと苦笑とも嘲笑ともつかない笑みが溢れ出た。
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