もしもの恋となのにの恋

過去

俺は本当に本当に千鶴のことが好きだ。
千鶴との恋は俺の一目惚れからだった。
千鶴を一目見たその瞬間、俺の体の中を何十万もの電流が駆け抜けた。
『これは・・・』と思った。
俺はすぐに千鶴に声を掛けた。
それは全校朝礼の最中のことだった。
それも大きな声でいきなり『大好きです』と・・・。
本当に俺は馬鹿だった。
いや、今も馬鹿だが以前はもっと馬鹿だった。
当然のことながら俺と千鶴は生徒指導のうるさい先生に捕まり、こっぴどく叱られた。
嗚呼、終わったな・・・と思った。
初っぱなからこんな男を誰が相手にしてくれる?
そう思うと俺は泣けてきた。
涙こそ流さなかったが俺は心の内でボロボロと泣いた。
ギャンギャン吠えるうるさい生徒指導の先生の言葉なんか何一つ入ってこなかった。
その説教がどのくらい続いたのか俺は知らない。
10分に満たない短い時間だったのか、または一時間だったのか、はたまた丸1日だったのかさえわからなかった。
俺はそんな懐かしい過去を思い出しなから今、隣にいる愛しい彼女をそっと見つめ見た。
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