もしもの恋となのにの恋
私は無意識のうちに彼女の名前を口にしていた。
その声は掠れていたし、大きくもなかった。
なのに彼女の耳にその声は届いたらしい。
嗚呼、聞こえなければよかったのに・・・。
私はそんなことを思いながら秋人の横顔をそっと盗み見た。
それと同時に捨てられた私の手はひどく熱く、僅かに震えていた・・・。
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