もしもの恋となのにの恋

私はそんなことを思いながら筒状の水槽に入れられた鰯の群れを見つめていた。
鰯の群れは一方向に向かって泳いでいた。
筒状の水槽は丸い。
丸いと言うことは切れ目がない。
切れ目がないと言うことは終わりがないと言うことだ。
鰯の群れは一体、何を目標に同じ場所をぐるぐると回り泳いでいるのだろうか?
もしかすると鰯は自分たちが同じ場所を何度も泳がされていることを知らないのかもしれない・・・。
いや、その方がいい・・・。
世の中には知らない方がいいことがたくさんある。
少なからず私はそう思う・・・。
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