もしもの恋となのにの恋
「キラキラしてて綺麗だね」
私はそう言って隣の司に微笑みかけた。
群れをなして泳ぐ鰯の体は光を受けてキラキラと輝いていた。
それはまるでショーケースの中に飾られたジュエリーのように・・・。
「俺は鰯より千鶴の方が綺麗だと思うけど?」
司のその言葉に私は思わず吹き出した。
それを見て司はニコリと微笑んだ。
本当に暖かい陽だまりのような微笑みだ。
司が微笑んでくれるたび、私はいつもそう思う。
「鰯と比べられて綺麗って言われても」
私は小声でそう言ってクスクスと笑った。
自分の彼女を魚と比べる彼氏は司ぐらいのものかも知れない。
そう思うと一層、面白くて笑えた。
本当に司は面白い・・・。
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